7月18日に発売される『ワンダー Wonder』(R・J・パラシオ 著、 中井はるの 訳、ほるぷ出版)のダイジェスト版を読んだ。
人の「強さ」と「弱さ」と「優しさ」について、いろいろな角度から丁寧にやさしいタッチで描いた心温まる小説だった。
主人公のオーガストは顔に障害を持つ10歳の少年。誰もが目を背けるような容貌だけど、それ以外はごく普通なだけでなく、頭脳明晰で、内面的にはとても魅力的。だけど、それは彼とふれ合うごく一部の人にしかわからない。
いままではひと目を避けて家で学習してきたのが、突然学校に通うことになる。突然異様な風貌のクラスメートを持つことになった子どもたちは、当然さまざまな反応を示す。さらにその出来事はオーガストを守ってきた家族の心にも波紋を作り出していく。
「いじめ」をテーマにした児童小説、と紹介されているようだけど、ダイジェスト版を読んだ限りでは、これを読んでも、現実のいじめにどう対処すべきかの処方箋にはならないと思うけど、自分自身がやさしく寛容になれるヒントはたくさん貰えた。
人は弱い生き物だけど、心の持ちようによっては強くも優しくもなれる。それは理想主義だけではダメで、もっと心の奥からにじみ出る共感に正直になることが大事なんだ、と気づかせてくれた。